Column
2024年7月4日
目次
▼飲食店の集客をするときのコツ
―ターゲットにした客層に来てもらうことを重視する
―新規顧客・リピーターを獲得する
―常に新たなニーズや市場を把握する
―アナログとデジタルをうまく組み合わせる
▼飲食店におすすめの集客方法
―チラシの配布
―ポスティング
―ハガキやDM
―看板の設置
―自社ホームページ
―メルマガ
―SNS
―ポイントカード・会員カード・クーポン配布
―インフルエンサーマーケティング
―販促品・ノベルティグッズ
▼飲食店の集客アイデア事例
―くら寿司の集客アイデア
―牛角の集客アイデア
―SAKE BAR サカナノモトの集客アイデア
▼まとめ
本文
居酒屋やバー、洋食屋、イタリアンレストランなど多様な業態の飲食店がありますが、集客のための施策を行わずにお店を繁盛させるのは難しいのが実情です。とはいえ、「集客のために何をやったらよいのかわからない」と感じている経営者の方は少なくないのではないでしょうか。
飲食店の集客のコツを抑えたうえで、集客の方法の種類や集客のアイデアなどを紹介していきます。
飲食店で集客のための施策を展開する際には、次に挙げる考え方がコツとなります。
【飲食店で集客をするときのコツ】
飲食店の集客では、ターゲットとして設定した客層の来店を促すとともに、新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの獲得にも力を入れていくことがポイントです。また、集客戦略は新たなニーズを踏まえてアップデートしていく必要があり、幅広く周知を図るため、アナログとデジタルを上手く組み合わせた施策を展開することも大切です。
飲食店の集客は、どんなお客様にでも来店してもらえればよいというものではありません。飲食店で重要なのは、コンセプト設計においてターゲットに設定した客層に来店してもらうことです。ターゲット層と異なる多くの顧客が来店すると、お店の雰囲気がコンセプトとズレてしまうためです。
たとえば、会社員をターゲットにした大人のイタリアンのお店であるにも関わらず、来店するのはファミリー層が中心になってしまうと、落ち着いた雰囲気を保つのが難しくなります。反対にファミリー層をターゲットにしたリーズナブルなイタリアンのお店に、会社員ばかり来店するような状況では、小さなお子様を連れたお客様が居心地の悪さを感じる可能性があります。
お店のコンセプトに合ったターゲット層はリピーターになりやすいことからも、ターゲットに設定した客層に来店してもらうことを重視した集客戦略をとることが大切です。
飲食店の経営では、新規顧客を呼ぶ込むだけではなく、来店されたお客様にお店のファンになってもらい、リピーターになってもらうための施策も重要です。
新規顧客を獲得するよりも、リピーターの方が集客コストが低いのが大きな理由です。また、リピーターは新規顧客を連れてきてくれる可能性もあります。
通りすがりの人をリピーターにするためには、まずは新規顧客として獲得するため、店頭に黒板を置いたり、ポスターを貼ったりするなど、お店のアピールをします。黒板には「18時までハッピーアワー!ドリンク半額」「△△産の○○入荷!」など、お得感のあるサービスや興味を引くようなメニューを記載するのがコツです。
来店した新規顧客には料理の味や接客サービス、お店の雰囲気に満足してもらうなど、お店のファンになってもらうことが大切です。そして、リピーターを獲得するための施策としては、割引クーポンやスタンプカードの発行のほか、会員登録をしてもらい、メルマガなどで期限定メニューやキャンペーン情報などを発信するといった方法があります。
社会情勢が変化したり、新たなトレンドが生まれたりするため、市場の動向や消費者のニーズは変化していることから、一度集客戦略を立てたらそれで終わりというわけではありません。
そのため、常にアンテナを張って、飲食業界の市場動向や消費者のニーズを把握することが大切です。また、長く安定した経営を行っていくには、必要に応じてお店の運営方法や販促方法などをアップデートし、新たなニーズに対応するために挑戦していくことが求められます。
昨今では様々な分野でデジタル化が加速していますが、飲食店の集客ではデジタルだけに特化せず、アナログと組み合わせることで、異なる層へのアプローチが可能となります。
たとえば、InstagramなどのSNSでお店のメニューやキャンペーンなどの情報を発信すると、SNSで飲食店の情報を探している層にアプローチできます。これに対して、チラシの駅前などでの配布やポスティングを行うと、地域の人に直接アプローチすることが可能です。
いかにターゲット層にアプローチしていくかを考えて、臨機応変にデジタルとアナログの手法を組み合わせいくことが大切です。
飲食店におすすめ集客方法として、具体的には次の手法が挙げられます。
【飲食店におすすめの集客方法】
飲食店の集客方法には、アナログの手法からデジタルの手法まで様々なものがあります。集客を図る目的による向き・不向きがあることから、集客効果を高めるには目的に合わせた方法を選択することが大切です。飲食店の集客方法について、それぞれ詳しくみていきます。
チラシを製作して、駅前や店頭などで配布する方法です。
チラシの配布はそのままお店に来るなど、数日以内に来店する可能性があり、即効性が高いことがメリットです。一方で、チラシのデザイン作や印刷のコストがかかる、近隣の人にしかアプローチできないといったデメリットがあります。また、長期的な集客にはつながりにくい方法ですが、SNSやホームページの情報を掲載しておくと、相乗効果が期待できます。
チラシの配布は店舗の近隣の人にアプローチしたいケースや、すぐに集客効果を得たいケースなどにおすすめです。
チラシを製作して、お店の周辺の住宅や会社などにポスティングを行う方法です。
ポスティングは郵便受けからチラシを出すときに、一度は目にすることになるため、認知度の向上に役立つことがメリットです。ただし、チラシを配布する場合よりも来店につながる可能性が低く、関心を持たれなければすぐに捨てられてしまうことがデメリット。一軒一軒まわってポスティングを行うのは、チラシの配布よりも手間がかかります。また、チラシの製作コストがかかるという点は、チラシの配布と同様です。
ポスティングで集客効果を高めるには、季節に合ったメニューやプランなどを掲載し、興味を引く内容にすることがポイントです。
ポスティングは人材のリソースにゆとりがあり、近隣の人に広くアプローチしたい場合に向いています。
会員登録などを行った既存顧客に対して、ハガキやダイレクトメールを送付する方法です。
ハガキやダイレクトメールの送付は、既存顧客にお店のことを思い出してもらう効果が期待できることがメリットです。初回の来店時に、料理が美味しいと感じていたり、お店の雰囲気を気に入ってたりしても、必ずしもまた来店するとは限らないためです。ただし、ハガキやダイレクトメールを送るには、住所やメールアドレスなどの顧客情報が必要であり、ハガキの場合は郵便代がかかることがデメリットに挙げられます。
ハガキやダイレクトメールには、新メニューやキャンペーンのお知らせを記載したり、クーポンをつけたりすることで来店を促します。
ハガキやダイレクトメールは、来店が遠のいている既存顧客にアプローチしたい場合に向いている方法です。
店頭に看板を設置して、お店の視認性を高める方法です。
特に会社員や学生はランチのとき、あるいは会社帰りや学校帰りに飲みにいくときに、あらかじめお店を決めず、歩きながら探すことがあるため、フリー客の獲得が期待できることがメリットです。ただし、看板の製作には費用がかかることがデメリットに挙げられ、特に電飾のついたタイプは高くなります。また、看板の設置による集客効果は、人通りに影響されやすい点に注意が必要です。
看板の設置による集客効果を高めるには、業態や看板メニュー、価格帯などがわかるものとするのがポイントです。
看板の設置は、お店の前を通るフリー客の集客を強化したい場合に向いています。
お店独自のホームページをつくる方法です。キャッチコピーやボディコピー、メニュー、地図、画像や映像などを載せて、お店の情報発信ができます。
自社ホームページはフォーマットが決まっていないため、自由な構成で制作できることから、お店のブランディングに役立つことがメリットです。ホームページがあることで信頼感も高まります。
ただし、即効性のある手法ではなく、グルメサイトへの掲載やSNSなどと連動しなければ、認知されにくいことがデメリットです。また、ホームページ制作にはコストがかかるほか、運用の手間もかかります。
自社ホームページはブランディングを図りたい場合におすすめです。
会員登録のある既存顧客に対して、定期的にメールマガジンを配信する方法です。
メルマガは既存顧客に新メニューや新サービスといった新しい情報を伝えられることがメリットです。チラシの配布やポスティング、ハガキの郵送といった方法と比較して、コストも抑えられます。一方で、メールを開封されない可能性があることが、デメリットに挙げられます。また、SNSの普及により、メールの活用が減っているという現状を踏まえておく必要があります。
メルマガの開封率を高めるためには、お得情報を目立たせるなど件名の工夫が必要です。
メルマガは既存顧客と継続的に接点を持ちたい場合に向いています。
X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、LINE、TikTokといったSNSのお店のアカウントを作り、情報発信を行う方法です。
昨今ではSNSで情報を取得する人が多いですが、ほとんどのSNSは無料で利用が可能。情報が拡散されやすいこともメリットです。ただし、運用の成果が出るまでには3ヶ月以上かかるとされ、定期的な投稿など運用の手間がかかることもデメリットといえます。
近年、主流となっているSNSには以下のものがあります。
SNS | 特徴 | 利用者層 |
X(旧Twitter) | リアルタイム性に優れているため、当日のキャンペーンや予約の空き情報の配信に向いている。 | 20代~40代 |
店内のインテリアやメニューなどを視覚的に訴求できる。 | 20代~40代 | |
実名制のため、長期的な関係を構築する戦略に向いている。 | 30代~50代 | |
LINE | 幅広い年齢層が利用し、リピーターの獲得に向いている | 20代~60代 |
TikTok | 位置情報の追加が可能で、拡散性に優れている。 | 20代~40代 |
「インスタ映え」という言葉が流行したように、映える料理やドリンク、テーブルコーディネート、店内のインテリアなどの写真が、SNSで話題となってフォロワーが増えて人気店に成長することがあります。また、来店客が投稿した写真がSNSで拡散されて集客につながることも考えられます。お店のオリジナルグラスも、おしゃれだったり、インパクトのあるデザインだったりすると、「映えグラス」としてInstagramなどで拡散されることが期待できます。
SNSは広くお店の認知拡大を図りたい場合や、お店のメニューにビジュアル的なウリがある場合などにおすすめです。
詳細はこちら:ホーロー印刷でオリジナルマグカップ製作
関連記事:ドリンクをより楽しめる映えグラスとは?オリジナルグラスの作り方や活用方法も解説
ポイントカード・会員カードは、1回の会計金額に応じて、あるいは来店ごとにポイントが貯まり、「ドリンク一杯サービス」「会計時10%オフ」といった、ポイントごとに設定した特典をサービスするものです。クーポンは「10%割引」や「1品サービス」などの次回使えるクーポンを配布する方法のほか、クーポンの枚数で特典を設定する方法もあります。
ポイントカードや会員カード、クーポンはリピーターの獲得ための施策として有効で、費用をさほどかけずに導入できることがメリットです。特にポイントを貯めていくほど特典の内容がグレードアップされていく場合は、通い続けるメリットが大きくなります。
一方で、ポイントカードや会員カードは会員になってもらうためのハードルが高いことがデメリットに挙げられます。特典がもらえる来店回数や金額の設定を高くし過ぎるのを避け、魅力敵な特典を用意することが大切です。
ポイントカードや会員カード、クーポンはリピーターの獲得を図りたいときに向いています。
インフルエンサーマーケティングは、膨大なSNSのフォロワーを持つインフルエンサーに、お店のPRを依頼する方法です。
インフルエンサーによる投稿はステマ規制により、「#Promotion」や「#Sponsored」などのPR投稿の表記が義務付けられていますが、PRとわかる形になっていても、広告よりもリアリティのある情報として受け取られやすいのがメリットです。ただし、自分のお店の宣伝効果が高いインフルエンサーを探す難しさがあるのがデメリットに挙げられます。
自分のお店のコンセプトと世界観が合致し、ターゲット層に指示されているインフルエンサーに依頼すると、宣伝効果が高まります。インフルエンサーマーケティングの専門会社からインフルエンサーの紹介を受けるといった方法もあります。
インフルエンサーマーケティングは来店されるお客様の満足度は高いものの、認知度の低くさから集客力が弱いといったケースで、広く周知を図るための施策としておすすめです。
オープン記念、あるいはイベントやキャンペーンを実施する際に、販促品・ノベルティグッズを配布し、来店を促す方法です。
販促品・ノベルティグッズの配布は飲食店ではさほど行われていないため、希少性やお得感から新規顧客の獲得につながりやすいことがメリットです。お客様がノベルティグッズをSNSに投稿することによる拡散効果も期待できます。さらに、店名入りのノベルティグッズを配布すると、日頃から店名を目にする機会ができるため、潜在意識に残りやすいといった効果も生まれます。
一方で販促品・ノベルティグッズの配布は、コストがかかることがデメリットです。ノベルティグッズの製作費用は売上金額の3%~5%程度に抑えるのが目安となります。
販促品・ノベルティグッズによる集客では、お店のコンセプトに合うターゲット層に喜ばれるものを選ぶのがポイントです。
販促品・ノベルティグッズの活用は、お店のオープンのときのほか、新規顧客の獲得や既存顧客の掘り起こしを行いたいときにおすすめでです。
MIMINOTEXでは、オリジナルロゴ入り名入れグラスの製作を行っています。タンブラーやジョッキ、ロックグラスなど多様な種類のグラスの取扱いがあり、ノベルティグッズ製作にもピッタリ。デザインデータの入稿から発送までは約2週間前後で、職人が一つひとつ丁寧にシルク印刷を施したグラスをお届けします。
詳細はこちら:オリジナルロゴをプリントした名入れグラスを製作
最期に集客方法の参考になる飲食店におすすめの集客アイデアの事例を紹介します。
【飲食店の集客アイデア事例】
くら寿司では独自のゲームの開発によって、集客や顧客単価の向上につながる施策を展開しています。牛角では肉の日に合わせたキャンペーンを実施し、需要を掘り起こしています。SAKE BAR サカナノモトではイベントの開催によって、既存顧客を囲い込む施策を行っています。それぞれについてみていきます。
くら寿司では、投入口に皿を5枚入れるごとに、当たると景品がもらえるゲームができる「ビッくらポン」を導入し、ファミリー層を中心とした集客に成功しています。ゲームができるのが5枚ごとのため、ゲームをやるためにもう1皿食べる人もいるなど、顧客単価の向上にもつながる施策です。人気キャラクターとのコラボレーションによるキャンペーンでは、幅広い層の集客につながっています。
そもそも皿の投入口を設けてデジタルカウントを行う仕組みをつくったのは、「卓上に積み上げた皿を他人に見られたくない」と感じる女性の声に配慮したものです。また、食べ終わった皿を投入口に入れると、皿は水回収システムによって洗い場まで自動で運ばれるため、従業員の片付けの手間が軽減され、洗いやすいというメリットもあります。
牛角では、肉の日にちなんだ集客キャンペーンを実施しています。
11月29日の「いい肉の日」にちなんで、2019年・2020年は黒毛和牛カルビを1皿390円で提供。2022年は1ポンドの「思いっきり牛角カルビ盛り」という特別メニューを提供。Instagramを活用によるカルビ無料券のプレゼントキャンペーンも実施しました。
また、毎年2月9日から「年に一度の肉の日」と称して開催しているのが、「肉の日祭り」です。たとえば、2023年は黒毛和牛やビールなどの対象メニューの半額での提供と食べ放題10%オフの2種類のキャンペーンを実施。2024年は黒毛和牛ごほうびサーロイン(1枚40g)の500円での提供を行いました。
2月29日の「肉の日」は肉をメインとする業界各社がキャンペーンを実施して盛り上げることで、需要を呼び起こしています。
SAKE BAR サカナノモトは、その名の通り、千葉・館山の漁港などから仕入れた魚料理とおでん、日本酒に力を入れているのが特徴です。オープンキッチンを設け、テーブル席のほか、立ち飲み用のカウンター席をつくるなど、店舗のレイアウトの面からも競合店との差別化を図っています。
SAKE BAR サカナノモトでは周年祭イベントを開催し、年によって内容は異なりますが、マグロの解体ショーやまぐろ振る舞いサービス、飲み放題、ビンゴ大会などを実施。定期的に日本酒と料理を楽しむ「サケトモの会」を実施するなど、イベントの開催による既存顧客の囲い込みを行っています。
飲食店では、コンセプト設計にもとづいたターゲット層の来客を促進するための集客戦略が必要です。新規顧客の獲得を目指すだけではなく、リピーターも獲得していくことが安定した経営につながります。集客方法には様々な方法がありますが、集客を図る目的によって向いている方法が異なり、アナログとデジタルの手法を組み合わせることで、異なる層にアプローチを図れます。お店の業態やターゲット、集客の状況に応じた施策を展開しましょう。